豊島区目白の精神科・心療内科「目白メンタルクリニック」各種保険取扱い / 自立支援

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境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害

 感情を刺激される出来事があると、圧倒されるような感情に飲み込まれてしまい、元の安定した情緒に戻るのに時間がかかるという、情緒のコントロール障害を中核的症状として持つ方で、人から見捨てられるのではないかという不安、生きていても空しいという慢性的な空虚感を伴うことが多いです。感情に圧倒されてしまった時に、上手に支援を求めることや、自分の現在の苦痛を軽減してくれるかもしれない新しい情報を取り入れることが苦手なので、リストカットや大量服薬などを衝動的にしてしまったり、人を激しく罵倒したりして、対人関係が不安定になりがちです。


境界性パーソナリティ障害の治療は、薬物療法だけでは不十分であり、海外のガイドラインでは弁証法的行動療法(DBT)やスキーマ療法が推奨されています。当クリニックでは境界性パーソナリティ障害には弁証法的行動療法(DBT)に準拠した治療を行います(アメリカとの保険診療体制の違いから、全く同じ治療構造ではありません)。

当クリニックでは境界性パーソナリティ障害の患者さんの初回診察は1時間をかけます。

当クリニックでは下記の構造を基本とする集中的な治療プログラムを受けていただくことをすすめています。

①精神科医師による処方のための診察

②精神科医師とカウンセラーもしくは精神保健福祉士による集団スキル・トレーニング
(女性が対象で、基礎編は毎週土曜に1時間×6か月間です。欠席した回は個人でカウンセラーから補習を受けていただきます)

③精神科医師による個人精神療法(10-15分)もしくはカウンセラーによるカウンセリング(30分もしくは50分)

*②の集団スキル・トレーニングでは、毎回ホームワークが出されます。ホームワークを提出した場合はご褒美シールを貰うことができ、ホームワークにはコメントが入って返され、修了時には修了証が授与されます。集団スキル・トレーニングは、体調不良や冠婚葬祭以外は欠席しないようにお願いしており、4回連続で欠席した場合は脱落となります。基礎編を修了したメンバーは個人でカウンセラーからブースターセッションを受けていただき、復習+応用に取り組みます。集団が難しい方や男性は、カウンセラーに個人でスキル・トレーニングを受けることができます。

この治療法は個々の患者さんに合っているかどうかを数回の面談で判定する必要があり(先に心理検査を受けることを提案することもあります)、自傷行為やセラピー妨害行動を減少させる取り組み、行動スキルを高める取り組みに同意されない患者さんはこの治療には参加できません。


【院長から伝えたいこと】
 我々DBTセラピスト(治療者)は、柔軟性があり、情を持った、中立的な存在であることを目標として、それぞれが自分達なりに努力をしています。罵倒や誹謗中傷でさえも、境界性パーソナリティ障害の治療に取り組むセラピストにとっては勲章であると思うようにしているぐらいです(勿論、人間ですからとても悲しくなります。また、後述の限界点がここになるセラピストもいます)。とはいえ、それらのセラピー妨害行動を我慢しすぎてバーン・アウト(燃え尽き)してしまうこともセラピストとして避けなければいけません。セラピストにもそれぞれ自分の希望、要望があります。それはあって良いものなのです。限界枠を設定すること、セラピストとしての自分の限界点を患者さんに明確に伝えることも時としてあります。それでもなおセラピー妨害行動が改善しない場合は、セラピーを休止する局面もあります。そうならないためにも、患者さんもセラピストと関係性を作ろうとする努力、プログラムに参加しようとする努力、課題や練習に取り組もうとする努力は必要です。攻撃的な言動や一方的な要求よりも、セラピストが援助したいと思うような方法で振舞うこと、DBTで学ぶスキルに基づいて行動することが、今後のあなたの人生が豊かになることにつながっていきます。ともにDBTスキルについて学びあい、考える方向に向かいたいと思っています。


【院長から伝えたいこと】
 完璧なセラピストは存在しません。我々DBTセラピストは、患者さんの感じ方、気持ちを価値のあるものと認めますし、理解しようとします。患者さんが成長したい、前進したいという願いを持っていると信じてセラピーを行っています。しかし、それでも、セラピストがセラピー中に苦慮したり、戸惑ったり、沈黙したりすることはあるのです。そういう時には患者さんはわかってもらえなかったと感じるかもしれません。セラピストも患者さんから指摘されたことは真摯に受け止め、修正点が自分達にないかを振り返り、修正するところは修正していく努力をします。同時に患者さんも、完璧なセラピストはいないという普遍的な真実、人生にはわかってもらえないと感じる時もどうしてもあるという現実を受容していくことが必要です。わかってもらえないと感じることが時としてあることも人生の一部であり、その全てを回避したり除去したりすることはできないのです。これを受け入れようとしないと、苦痛や苦悩、怒りが増大するだけです。この事実を受け入れ、単純に耐えることも解決策の一つになり得るのです。


■弁証法的行動療法のスキル・トレーニングのカリキュラムの例は以下です

(『弁証法的行動療法実践マニュアル―境界性パーソナリティ障害への新しいアプローチ』マーシャ・リネハン著、金剛出版より抜粋)

  • マインドフルネス・スキル

    ・自分の心を把握する練習について理解しよう
    ・把握スキルを使って自分の心の状態を把握する練習をしよう
    ・対処スキルを使って自分の心の状態を把握する練習をしよう

  • 対人関係スキル

    ・対人関係保持の場面について考えよう
    ・対人関係保持の目標について理解しよう
    ・対人関係保持を低下させる要因について理解しよう
    ・対人関係にまつわる思い込みを変えていこう
    ・対人関係保持に関する応援メッセージについて考えよう
    ・要求する、Noと言う際の態度の強さをどれくらいにするかの選択肢と、その判断材料について考えよう
    ・対人関係保持の実践に関する提案を理解しよう
    ・目的効果に関するガイドラインを理解し、望むものを手に入れる練習をしよう
    ・対人関係保持に関するガイドラインを理解し、人間関係を維持する練習をしよう
    ・自尊心保持に関するガイドラインを理解し、自分自身を尊敬し続ける練習をしよう

  • 感情調整スキル

    ・感情調節トレーニングの目標を理解しよう
    ・感情にまつわる思い込みを修正しよう
    ・感情描写のモデルについて理解しよう
    ・感情描写の方法について理解しよう
    ・感情の良いところについて考えてみよう
    ・否定的な感情に対する傷つきやすさを減らす練習をしよう
    ・ポジティヴな感情を増やすためのステップを理解しよう
    ・大人向けの楽しいイベント・リストを使ってみよう
    ・感情的苦悩を手放す練習をしよう
    ・現在の感情と反対の行動をとることによって感情を変えてみる練習をしよう

  • 苦悩耐性スキル

    ・危機を乗り越える戦略を作ろう
    ・ハーフスマイルの練習をしよう
    ・自分の呼吸を観察する練習をしよう
    ・意識する練習をしよう
    ・現実を受け入れるための基本原則を理解しよう

弁証法的行動療法のイメージを掴んでもらうために、
ここでは3つほど具体的に紹介します

(『弁証法的行動療法 実践トレーニングブック‐自分の感情とよりうまくつきあってゆくために‐』マシュー・マッケイ著、星和書店、『弁証法的行動療法ワークブック-あなたの情動をコントロールするために』スコット・スプラドリン著、金剛出版より抜粋)

■「徹底的な受容」の練習をしましょう。

 徹底的な受容とは、その出来事を価値判断したり、自分自身を批判することなく、現在の状況を認めて受け容れるということです(他の人々の悪い行動を容認したり、同意することではありません)。出来事に対して、怒ったり、「こんなことは起こるはずがなかったのに」などと考えてしまうと、それが実際に起こってしまったことであること、現実としてそれに対処しなければならないということを見落としてしまいます。そういうふうにして既に起こってしまったことを変えようとするのはやめることです。


■悲しみを変えるための4つのステップ

(1)悲しみに対するマインドフルネスの練習をする(悲しみを観察し、描写してみる)
(2)ボディ・ランゲージと姿勢を変える
(3)表情を変える
(4)悲しみに拮抗する行動を取る


■自分の中の大いなる力、宇宙とのつながりを感じてみましょう。

 このホームページにある星の画像を見て下さい。あなたが見ている光は、誕生から何百万年も経っており、何光年も離れた星から旅してきています。実のところ星を見上げるたびに、あなたはタイムマシンを通して、何十億年前の宇宙の様子を見ているのです。不思議なことに、あなたが見ている星の多くは既に死んでしまっているのですが、その光は何光年もの時間を経て、地球上にいるあなたの目にちょうど到達したところなのです。星を見上げ、それらを創造したものが何であれ、宇宙の事故であれ、あなたもそれによって創造されたことを認めましょう。あなたは星と結びついているのです。自分自身が宇宙とつながっていることを想像して下さい。心地よい椅子に座り、目を閉じ、宇宙からの白い光線が照らしているのを想像しましょう。レーザー光線のように白い光はあなたの頭頂部を照らし、あなたを安らぎで一杯にしてくれます。今度は白い光があなたの身体中に広がり、全ての筋肉をリラックスさせるのを想像します。あなたの脚が巨大な木の幹のように床を突き抜けて、地球の中心にまで伸び出しているのを想像しましょう。これらの根は、惑星を動かしているエネルギーに接触しています。あなたの脚が、地球からあふれ出している金色の光を吸い上げる時、あなたの体が自信に満ちていくのを感じてください

境界性パーソナリティ障害の弁証法的行動療法